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熱中!宮津のホットなスポーツ〜ヨット&ボート~

宮津で盛んなスポーツ。前回はレスリングとウエイトリフティングをご紹介しましたが、今回は、海のまちならではのスポーツ、ヨット&ボートに密着。ひたむきに挑む子どもたちの勇姿を御覧ください。

天橋立を望む美しい海を舞台に練習「宮津ジュニアヨットクラブ」

帆(セール)に受けた風をエネルギー源に、水の上を進むヨット。元々は荷物を運ぶための船として使われていましたが、17世紀頃に速さを競うスポーツの要素が加わったといわれ、1900年パリオリンピックから競技として採用されました。2000年シドニーオリンピックからは競技名が「ヨット」から「セーリング」に変わり、東京2020オリンピックでは10種目が実施されました。

日本三景・天橋立がある宮津には、1976年に設立した「宮津ジュニアヨットクラブ」があります。このクラブでは、子どもたちにセーリング競技の面白さはもちろん、セーリングを通じて自ら考えて行動する力や集中力、責任感、仲間同士の助け合いなどを教え続けています。

入会対象は、小学1年生~中学3年生。OP(オプティミスト・ディンギー)と呼ばれる、全長2.31m、全幅1.13mの小さなヨットに乗り、田井宮津ヨットハーバーから風光明媚な天橋立をバックに、セーリング技術を学びます。
OPは、片手にラダー(舵)、もう片手にセールのロープを持ち、座って操縦を行います。OPの最大の特徴は、強風下でも安定して航行できることと初心者でも比較的簡単に操縦できること。日本オプティミストディンギー協会によると、日本をはじめ世界100か国、15万人以上の子どもたちがこのOPに乗っているそうです。
「小さな子どもがヨットに乗るのは心配」「泳げない子どもは大丈夫?」と思われる人がいるかもしれませんが、コーチを務める大江信(おおえ しのぶ)さんによると、必ずライフジャケットを着用してから乗船し、一人でヨットに乗れるようになるまではコーチと一緒に2人乗りヨットで練習を行うとのこと。また独り立ちしてもコーチがモーターボートに乗って練習をサポートするなど、子どもたちが安全に競技を行える体制を確立しているそうです。

「見た目が優雅なヨットですが、風に乗って進めばとても速い。高校生用のヨットだと、モーターボートのように進みます。海の上では自然状況や他の選手の動きなど様々な情報を基に自分で判断して行動しなければいけない。体力・気力・精神力・知力の全てが求められる競技です」と語る大江さん。
スポーツとしての面白さはもちろん、自ら考えて行動する人間へと成長できるのもセーリング競技の魅力といえます。

宮津では、高校生のセーリング競技も盛んです。宮津天橋高校宮津学舎のヨット部は、設立が1957年と歴史があり、国体や全日本選手権で優勝した選手、世界選手権やオリンピックに出場した選手も輩出しました。

一時は部員数が減少していたヨット部ですが、2019年にインターハイで優勝してからは部員数も増え、現在は1年生を中心に11名が在籍。今回は、宮津ジュニアヨットクラブ出身の山口誠史(やまぐち まさふみ)さんと、高校入学後にセーリング競技に挑む岩根蓮太朗(いわね れんたろう)さんにお話を伺いました。

山口誠史(やまぐち まさふみ)さん(宮津天橋高校宮津学舎1年生)

小学1年生のときに参加したヨット体験をきっかけに、セーリング競技に興味を持った山口さん。過酷な自然を相手にするため、特に強い風や寒さに耐えて戦うことは辛いそうですが、それでも風に乗って海の上を走る喜びを感じられるのはこのスポーツならではの面白さだと話します。
「ヨットは個人競技なので常に自分で準備しなければいけません。さらに、レースでは天候や風向きを調べ、自分で考えて行動する必要があります。海の上でトラブルがあったら自分の責任ですし、レースに負ければコース取りを上手くできなかった自分の責任。上手くレースを展開できたときはやっぱり嬉しいですね。」
高校生になり、団体行動をする場面が増えたと話す山口さん。今の目標はチームのチカラを高めること。みんなで楽しく食べるごはんが、山口さんにとってのチカラメシなのだそうです。

岩根蓮太朗(いわね れんたろう)さん(宮津天橋高校宮津学舎1年生)

中学時代はバスケットボール部に所属していた岩根さん。
「高校進学後は、これまで続けていたバスケをするか、新しいスポーツにチャレンジするか悩んだんです。親に相談したら、『宮津学舎ならではのスポーツをしたら』とアドバイスをもらって、ヨット部、もしくはボート部に入ろうかなと考えるようになりました」
そんなとき、部活動体験で出会ったのが、既にヨット部に入っていた山口さん。一生懸命に入部を誘ってくれた彼の行動に惹かれて入部を決断したそうです。
「当初は、ヨットとボートの違いもわかってなかったんですが、風を受けて海の上を進むヨットに感動しちゃったんです。ヨットは自然に左右されるスポーツなだけに、その壁を乗り越えて達成感を味わえたときは、やっぱり楽しいですね」
とはいえ、初めてヨット競技にチャレンジするだけに、特に気温が下がったときの寒さは辛いそう。「ガクガク震えながらごはんを食べるときもあります(笑)」
現在は目標のインターハイ出場に向け、大好きなスムージーをチカラメシに、日々練習に励みます。

<データ>
宮津ジュニアヨットクラブ
練習場所:宮津田井ヨットハーバー
練習日時:3~11月の日曜日
https://miyazu-jyc.jimdofree.com/

100年以上の歴史を誇る「宮津天橋高校宮津学舎ボート部」

セーリング競技と同様に、1900年パリオリンピックから競技に採用されているのがボート競技です。水上の直線コースを舞台に、オールを使ってボートを漕ぎ、2,000mのコースで順位を争います。
ボートの魅力は、なんといっても、水上をスイスイと進むあのスピード感。加えて、チームワークが成しうるシンクロした統一感やレース戦略、スパートのタイミングなど、シンプルな競技ながら見どころがたくさんあるのが特長です。

宮津天橋高校宮津学舎のボート部の設立は、高校の前進である京都府立第四中学校が開校した1903年にさかのぼります。以来、数多くの大会で優秀な成績を収めてきました。近年だと、2022年のインターハイで女子舵手つきクォドルプル(4人)において、同校では女子初となる6位入賞の快挙を達成しています。

現在は男女合わせて11名の部員が、宮津湾で技術向上のためのトレーニングに励んでいます。また、筋力や持久力、心肺機能を鍛えるために、陸上でのトレーニングも重視しており、取材に訪れたときも、部員のみなさんは筋トレなどに汗を流していました。

そんなボート部の顧問として生徒の指導にあたるのが、谷川勇樹(たにがわ ゆうき)先生です。谷川先生が指導者として一番大切にしていることは、生徒の自主性を育てること。「水上では私たちが直接声かけできないので、安全確認や危険回避の判断を自ら行う必要があります。そのため、生徒に接するときには、自分自身がどのように考えて行動していくかを意識してもらうようにしています」
かつては同校の生徒としてボート部に所属していた谷川先生。
「私自身も競技を経験して感じていたのが、ボートは『究極のシンクロ競技』であることです。特にペアやクォドルプルの場合は、仲間たちと呼吸を合わせなければスピードは出ません。心の動き、身体の動きを研ぎ澄ませ、仲間と息を合わせる、まさに究極のスポーツがボートだと考えています」

ボートといえば「川」をイメージする人も多いでしょうが、こちらのボート部では宮津湾で練習を行っています。谷川先生によると、全国にあるボート部のうち、2/3が川や湖の淡水で、残り1/3が海で練習をしているとのこと。海が舞台の試合も行われているそうです。
「海の場合、川や湖と違って船が少し浮くという性質がありますが、ボートのような小さな船だとあまり影響ありません。それよりも、海の場合は障害物が多く発生しやすいのが大きな特徴だといえます。また、川のように流れがない代わりに、波やうねりの影響を受けることがあります」と谷川先生。
海での練習は、より難しく、感覚が研ぎ澄まされそうですね。

そんな宮津湾で日々練習に励むボート部。取材ではキャプテンと副キャプテンのおふたりにお話を伺いました。

歌丸 亜音(うたまる あのん)さん(宮津天橋高校宮津学舎2年生)

ボート部のキャプテンを務める歌丸さん。中学時代はバレーボール部に所属していましたが、部活動体験で楽しそうに練習をする先輩達の姿に惹かれ、バレーボールを続けるか悩んだ末に、ボート部に入部したそうです。しかし歌丸さんにはある悩みがあったそうで…。
「実は、私、泳げなくて。その事が心配だったんです。練習ではボートから落ちたときの対応も学ぶんですけど、私は泳げないので先輩に助けてもらってます(笑)」
「シングルだとボートから落ちたときに怖いから…」と、歌丸さんが選んだ競技は2人乗りのダブルスカル。
「パートナーと話し合いをしながら作戦を練れるのがこの競技の面白いところ。イメージしたレース展開が当たって、記録が伸び、勝てなかった相手に勝利したときはとてもうれしいですね」
目標であるインターハイ出場に向け、夏の予選を見据えた練習に励んでいるそうです。

前尾 明里(まえお あかり)さん(宮津天橋高校宮津学舎2年生)

副キャプテンの前尾さんも、歌丸さんと同じく高校入学後にボートを始めました。
「この学校でしかできないことをしたいと選んだのがボート部。先輩たちの雰囲気もすごくよくて、ここでならがんばれそうと思いました」
そう語る前尾さんは、これまでシングル、ダブル、クォドルプルの3種目に出場し、インターハイ女子ダブルスカルで準決勝に進出した実績があります。3年生が引退してからはシングルに競技を絞り、3月に開かれる全国高等学校選抜ボート大会で準決勝を突破するのが目標なのだそう。前尾さんも「全国選抜で好成績を収めることができれば、インターハイや国体に向けて弾みが付くのではいかと考えています。きつい練習が多いですが、レースに勝ったときはやっぱりうれしい」と話します。

ふたりの勝負メシを伺ったところ、歌丸さんはお母さんが握るウインナーが入ったおにぎり。前尾さんは、疲労回復のためのビタミンCがたっぷり入ったドリンクと教えてくれました。厳しい練習を乗り越えて大会で好成績を収めることを期待しています!

日本三景に見守られながら練習できる喜び

ヨット部、ボート部の取材で生徒のみなさんが口にしていたのが……
「日本三景・天橋立をバックに、美しい海で練習ができること」
日本のどこにもない空間で大会に向けたトレーニングを行えるのも、宮津ならではの魅力だといえます。練習に励む生徒たちの姿を見かけたら、ぜひエールをおくってあげてください!これからも、Miyazu Takaraでは頑張る若者たちを応援していきます!


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