熱中!宮津のホットなスポーツ〜レスリング&ウエイトリフティング〜
宮津のまちで盛んな“スポーツ”に注目!今回は、近年特にレベルの高い選手を輩出しているレスリングとウエイトリフティングに密着。 競技に打ち込む子どもたちをご紹介します。
世界クラスの選手も輩出する「京都海洋レスリング教室」
直径9メートルの円形マットの上を舞台に、身体同士だけでぶつかりあい、技をかけ合うレスリング。パワー、スピード、テクニックの応酬で互いの技で相手を組み伏せ、両肩をマットに押しつけようと競い合います。古代オリンピックから続く「人類最古の格闘技」は、近年、宮津市でも小・中・高校生を中心に競技人口が増えているのをご存じでしょうか。
その中心を担っているのが、平成19(2007)年にスタートした京都海洋レスリング教室。3歳から中学3年生までの子どもたちが、レスリングの基礎やマット運動はもちろん、あいさつや礼儀といった相手を敬うことも学んでいます。
今や世界チャンピオンを輩出する程の強豪クラブとなった京都海洋レスリング教室。その立ち上げに携わったのが、京都府立海洋高校でもレスリングを指導する織田康博(おだやすひろ)先生です。
織田先生は、レスリングの強豪校で知られる網野高校の出身。同校で指導をしていた名伯楽・三村和人(みむらかずひと)先生が海洋高校に赴任すると、現・監督の三浦力哉(みうらりきや)先生と共に海洋高校のレスリング部の指導を担当。その傍らで、宮津の子どもたちにレスリングの面白さを伝えるためのジュニアスポーツ教室を立ち上げることとなりました。
「宮津にレスリングのジュニアスポーツ教室設立を提言してくれたのが、私の師匠でもある三村先生です。先生は常々『チャンピオンをつくるよりも、生徒たちにレスリングを続けさせることや指導者を育成することの方が難しい』と話していました。先生の教えを守り、子どもたちにレスリングの楽しさややりがいを伝え、将来のチャンピオンや指導者を育成しています」(織田先生)
京都海洋レスリング教室が設立されてから15年以上が経ち、織田先生の元で学んだ生徒たちのうち実に4名もの卒業生が教師になって海洋高校に赴任。三村先生や三浦先生、織田先生が蒔いた種が見事に花開き、現在はコーチとして生徒にレスリングを教えています。
今回お話を伺ったのは、京都海洋レスリング教室出身の2人の女子選手。どちらも2022年のU17アジア選手権大会(キルギス)に出場し、ともに好成績を収めた府立海洋高校の1年生。レスリング界でも注目の存在です。
西岡吟(にしおか うた)さん(府立海洋高校1年生)
小学4年生の時に友達に誘われたことがきっかけでレスリングを始めた西岡さん。勝つことの喜びを覚えて段々とのめり込むようになったそうです。中学時代は、全国中学選抜選手権で2度の入賞(ともに5位)。ジュニアクイーズカップで3位になりアジア選手権大会に出場。フリースタイル53kg級で3位に入賞しました。
「練習もしんどいしルールも複雑だけど、自分を追い込めば追い込んだ結果、良い成績に結びついた時の喜びは計り知れないもの。それがレスリングの何よりの楽しさ」と話す西岡さん。
日頃の練習や大会の運営をサポートしてくれる保護者のみなさんの存在もチカラになっていると言います。そんな西岡さんの実家はお寿司屋さん。お父さんが丹精込めて握ったお寿司をチカラに変えて、試合に臨んでいるそうです。
升田夏実(ますだなつみ)さん(府立海洋高校1年生)
兄や姉の影響で3歳からレスリングを始めた升田さん。中学時代は、全日本女子オープン選手権と全国中学選抜選手権で優勝。ジュニアクイーンズカップで2位になり、アジア選手権大会に出場し、見事準優勝を果たしました。
「たとえ試合で負けていても逆転できるのがレスリングの醍醐味。色々ある技のなかから、どの技をいつ繰り出すか戦略を練りながら試合を進めるのが楽しいですね」と話す升田さん。現在の目標は身体を大きくして階級を上げること。そして今年惜しくも出場できなかった世界選手権大会の出場に向け、日々練習に勤しんでいます。織田先生お手製のおにぎりを食べて試合に臨むのが升田さんのルーティーンなのだそうです。
あのスーパー中学生も卒業生!「海洋ジュニアウエイトリフティング教室」
ウエイトリフティング(重量挙げ)は、重い石などを持ち上げる力比べが原型のスポーツ。
一見シンプルに見える競技ですが、精神的にも肉体的にも過酷な競技です。
両手でバーベルを握り、一気に頭上まで持ち上げて立ち上がる「スナッチ」と、床から鎖骨の位置までバーベルを持ち上げ、頭上に上げる「クリーン&ジャーク」をそれぞれ3回ずつ行い、各最高重量の合計を競い合います。
全国的にもウエイトリフティングが盛んな京都。宮津では丹後・中丹地区全域を対象にした「海洋ジュニアウエイトリフティング教室」が開かれています。
指導を担当するのは、世界選手権44kg級銀メダリストの川﨑さと美(かわさき さとみ)先生(府立海洋高校ウエイトリフティング部顧問)。小学3年生~中学3年生の子どもたちを対象に、ウエイトリフティングの楽しさを伝えています。
「ウエイトリフティングは他のスポーツに比べて競技人口は決して多くありません。だからこそ、ジュニア教室ではウエイトリフティングの面白さ楽しさを子どもたちに知ってもらうことを基本にしています。競技人口が少ないだけに、がんばって成績を上げれば全国大会に出場できたり、世界に羽ばたくことができたりするのもウエイトリフティングの特徴。大きな目標を目指して頑張らせたいです」(川﨑先生)
とはいえ学校から離れた場所に住む選手たちもいるそうで、そのがんばりをサポートしてくれるのが保護者の存在。
「都会であれば子どもたちだけで電車に乗って教室に通うことができますが、車社会の宮津ではそれも困難。だからこそ送り迎えをしてくれたり運営のサポートをしてくれる保護者の方の存在は欠かせません」
そんな海洋ジュニアウエイトリフティング教室出身で、現在、府立海洋高校ウエイトリフティング部で活躍している選手をご紹介します。
川﨑菜々紗(かわさき ななさ)さん(府立海洋高校2年生)
中学時代に数々の新記録を塗り替えたことから「スーパー中学生」と言われた川﨑さん。
ウエイトリフティング一家で育ち、部の顧問でお母さんのさと美さんと二人三脚で練習に打ち込んできました。2020年に開かれたアジアジュニア選手権で銅メダルを獲得。東京五輪の聖火リレーでもランナーを務めました。
そんな川﨑さんにとっても、新型コロナウイルス感染症まん延下での大会中止は、大きな影響があったと言います。
「学校での練習もまともにできなかったので、モチベーションを維持することが大変でした。それでも関係者のみなさんが可能な範囲で開催できるミニ大会を用意してくれたおかげで練習に取り組むことができたと感謝しています」(川﨑さん)
「ウエイトリフティングは記録のスポーツ。今までやってきたことを信じて試技を迎えた結果、目標を達成した時が何よりの喜び」と話す川﨑さん。
「一人でやっていると重い重量を上げるのは怖いところがあります。恐怖心に打ち勝つ心を支えてくれるのが、家族や周りの仲間達。そして地域の人々に声をかけてもらえると、『頑張って良かったな』と思います」
後藤奎人(ごとう けいと)さん(府立海洋高校1年生)
お姉さんの影響で、小学3年生の時にウエイトリフティングを始めた後藤さん。中学卒業後は府立海洋高校に進学し、記録更新を目指して日々トレーニングに励んでいます。
調子が悪い時は「なぜウエイトリフティングをやっているのか」と自問自答することもあるそうですが、「そんな時は自分が取り組める練習を絞り『これだけはがんばろう』とやりきるようにしています」と、常に前向きな姿勢で練習に取り組んでいます。
「ウエイトリフティングの面白さは、自分が成長した姿が記録に反映されること。今まで上げられなかった重さのバーベルを上げられた時の達成感はたまらないですね」
高校3年生の頃までに全国大会で優勝を狙える実力を蓄えるのが、後藤さんの目標。
「ただ強いだけでなく人間的にも成長していきたい」とまっすぐな目で話してくれました。
そんな後藤さんのチカラメシは「100%オレンジジュース」です。
「試技の前に飲んだら結果が良くて、以来、験担ぎの意味も込めていつも飲んでいます」
スポーツに打ち込む子どもたちにエールを
全国的に注目を集める選手も輩出している宮津のスポーツ。選手が練習に取り組むためには、サポートしてくれる顧問やコーチ、保護者のみなさんの存在が欠かせません。
そして、宮津のまちの人々のエールこそが、選手をより大きく羽ばたかせます。これからもMiyazu Takaraでは頑張る若者たちを応援していきます!
レスリング
<データ>
京都海洋レスリング教室
住所:京都府立海洋高校(宮津市上司1567-1)
TEL:0772-25-0331(担当:織田)
ウエイトリフティング
<データ>
京都海洋ウエイトリフティング教室
住所:京都府立海洋高校(宮津市上司1567-1)
TEL:0772-25-0331(担当:川﨑)
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