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寒鰤の美味しさを余すことなくいただきます! 〜宮津発祥の「鰤しゃぶ」〜

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寒さ厳しい12月から2月頃にたっぷりと脂を蓄えた鰤(ブリ)は、寒鰤と呼ばれる旬の味覚。冬の宮津を訪れたなら一度は味わいたい、寒鰤を使った名物・鰤しゃぶの魅力をご紹介します。

鰤を美味しく味わう料理の定番・鰤しゃぶ 誕生の地は宮津!

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冬を代表する味覚の一つ・寒鰤。鰤大根に塩焼きや照り焼き、お造りと、おいしい食べ方が数ある魚です。中でもその美味しさをじっくり堪能できる人気の食べ方が、しゃぶしゃぶ。寒鰤のしゃぶしゃぶ通称「鰤しゃぶ」は今や全国で親しまれていますが、実は宮津で発祥した創作・郷土料理だとご存知でしたか? 発祥当初から鰤しゃぶを提供し続けている料理旅館の一つ「茶六別館」のご主人・茶谷昌史さんに、その魅力や誕生秘話をうかがいました。

これまでにない美味しい食べ方を探し、行き着いたスタイル

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鰤しゃぶが誕生したのは、40年以上前の昭和53年(1978)のこと。当時、旅館組合青年部のメンバーには、宮津に蟹と並ぶ冬の名物を見出したいという思いがありました。そこで目をつけたのが、冬の丹後の名産品である寒鰤。「寒鰤をより美味しく味わえて、オリジナリティーも表現できる調理法は何かと試行錯誤を重ねて辿り着いたのが、しゃぶしゃぶという食べ方でした」と茶谷さん。素材そのものがうま味をしっかりと持っている寒鰤は、しゃぶしゃぶで味わうのに適していました。

鰤は次々に名前が変わる出世魚で縁起が良いことから、誕生当初、鰤しゃぶは「寒鰤・出世鍋」と名付けられました。しかし「出世鍋」という名称より、わかりやすい「鰤しゃぶ」という名称がいつの間にか定着していったといいます。また、誕生当初は数人でつつく大鍋で提供していましたが思うように人気が出なかったため、会席料理の一品として小鍋の一人ぶりしゃぶを出してみたところ、反響が。美味しく珍しいと地元の人たちからお墨付きをもらい自信を得て、観光客にも振舞うようになり、人気はどんどん高まっていったのだそうです。そして平成19年(2007)に、考案者たちも驚いた出来事が。とある大手メーカーのテレビCMの食事シーンに、なんと鰤しゃぶが登場したのです。これを機に知名度はさらに上がり、今では鰤のおいしい食べ方の定番として愛されるようになりました。

自分好みの食感を探して“しゃぶしゃぶ”する愉しみ

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鰤しゃぶはいたってシンプルながら、鰤の美味しさを味わうにはもってこいの料理です。宮津の鰤しゃぶには、主に伊根湾で獲れる寒鰤を使用。脂がよく乗っていながらもあっさりとしていて、身が程よく引き締まった上質な味わいです。そして鰤しゃぶの美味しさのポイントは、鰤の身を2〜3㎜に薄く切ること。これはなかなか家庭で再現できる技ではありません。薄切りの鰤を煮立った昆布出汁にさっとくぐらせれば、見る間に火が通り色が変わります。これぞ、鰤しゃぶの醍醐味。瞬く間に変化していく鰤の色や鍋のぐつぐつという音が、目からも耳からも食欲を刺激します。「しゃぶしゃぶした鰤は、ポン酢でどうぞ。当初は味噌だれや胡麻だれなど様々なたれを試してみましたが、鰤の脂のうま味と最も相性が良かったのがポン酢です」と茶谷さん。
鰤の部位によって風味や脂の乗り具合が異なり、さらに出汁にくぐらせる時間を少し変えるだけで食感はまるで別ものに。ひとくちひとくち少しずつ違う繊細な味わいを楽しむことができ、食べ終わるまで飽きが来ることはありません。

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茶六別館では鰤のほか、菊菜や白菜、エノキや椎茸といった具材も別皿で供され、同じくポン酢であっさりといただきます。そして忘れてはいけないのが、しゃぶしゃぶのあとの鰤雑炊。鰤と野菜のうま味が溶け出した出汁にご飯と卵を加えるシンプルな調理法ながら、その美味しさは格別です。
鰤しゃぶは、宮津・天橋立の旅館・ホテルや料理店などで味わうことができます。「鰤しゃぶで旬の味覚の美味しさを余すことなく堪能して、宮津の冬を満喫してみてください」と、ご自身も鰤しゃぶが大好物だという茶谷さんが、笑顔で語ってくれました。

<データ>
茶六別館
京都府宮津市島崎2039-4
TEL:0772-22-2177(茶六別館)、0772-22-0206(お食事処 四季膳花の)
営業時間:お食事処 四季膳花の
昼席 11:30~14:00(L.O.13:00、6,000円[税別]以上の料理はL.O.12:30)
夕席 17:30~21:00 (L.O.19:00)
※前日21時までに要予約
定休日:火曜日・ほか不定休
交通アクセス:京都縦貫自動車道「宮津天橋立IC」から車で約7分
ホームページ http://www.charoku.com/