海の城下町に美しく灯る1万個の灯り「和火」
毎年秋に、金屋谷地区を中心とした寺町界隈で行われる「和火(やわらび)」。それは、かつて宮津城の城下町として栄えたこの地域で、地域住民一丸となって盛り上がる夜のイベントです。手作り灯籠の柔らかな光に包まれた幻想的な空間で行われるお祭りとは?宮津の秋を代表する「和火」をご紹介します。
地域住民で作り上げる“町の文化祭”
「和火」では、竹やペットボトルなどで作った手作り灯籠を通りに並べ、灯りを灯します。風情ある街並みを照らす様子はなんともロマンチック!
この手作り灯籠は、地域の保育園児から小学校の児童・生徒、事業所や地域住民が中心となり、製作から設置、片付けまで行います。さらに、お寺ではJAZZライブや歌とダンス、お茶席などが宮津市内外の人たちによって開かれ、舞台を盛り上げます。
そう、「和火」は地域のみなさんが一丸となって作り上げる“町の文化祭”なのです。
この時だけの夜間拝観も!11の寺院で行われる特別ステージ
ライブやお茶席などの特別ステージは、佛性寺、栄照院、大頂寺、妙照寺、国清寺、経王寺、本妙寺、見性寺、悟真寺、真照寺、無縁寺の11の寺院で催されます。また、一部のお寺では寺宝のご開帳や本堂も拝観できるので、この日にしか見られない夜のお寺も楽しめますよ。
宮津高校建築科の3年生による校門アーチ
さらに、国の重要文化財である旧三上家住宅や道の駅などでもライブや展示会も行われます。本町広場に展示される、宮津高校建築科3年生による校門アーチの展示も必見です。
宮津市を代表する文化へ……和火に込められた思い
和火は、宮津メディアセンターの岡本さんをはじめとしたメンバーが、宮津市の文化となるようなイベントを作ろうと企画したことが始まりです。地域住民やお寺に声をかけ、2007年に始まりました。名前の“和火”は岡本さんの造語で、平和やなごみに使われる「和」を用いて、灯籠を表す「火」と合わせています。最初は誰も読めなかった名前も、今では誰もが知っている宮津の秋の風物詩となっています。
岡本さんがオススメするのは、宮津市内でも1番高いところにあるという大頂寺。坂道になっている参道にずらりと並ぶ灯籠は見応えたっぷり。また、大きな道はもちろん、ちょっとした小道にも灯籠が設置されているので、探検気分で入ってみるのも面白いそうです。全ての道を回るには2~3時間かかるので、1日目・2日目と分けて巡ってみるのもおすすめ。昼間とは違う夜の寺町を歩けば、新しい発見に出合えるかもしれません。
今はなき宮津城の軌跡
宮津市が「海の城下町」と呼ばれていることをご存知でしょうか。宮津市にはかつて海に面して築城された、「宮津城」というお城がありました。また、和火が行われる金屋谷地区には11もの寺院が隣接していて、寺町とも呼ばれ、城下町として栄えました。
宮津城は、1580(天正8)年に細川藤孝・忠興父子によって築城され、1600年の関ケ原合戦の際に、西軍に攻められ数か月の籠城の後に開城。その後は宮津藩当主の京極家が居城として過ごしました。
現在では宮津城の城郭はほとんど残っていませんが、宮津城の南側にあったとされる「太鼓門」が宮津市立宮津小学校の正門として残されています。また、寺町周辺の城下町の町並みはそのまま残されており、当時の雰囲気を楽しむことができます。
<データ>
和火
開催日程:10月初旬(ライトアップは18:00~21:00)
宮津市金屋谷周辺
※開催内容は年によって変更があります
TEL:0772-45-1625(宮津市産業経済部商工観光課観光係)
https://www.city.miyazu.kyoto.jp/soshiki/9/