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宮津高等学校・宮津天橋高等学校フィールド探究部プレゼンツ!宮津市が誇る“巨樹”

宮津市を含む丹後地域には、ジブリ映画に出てきそうな「巨樹」がたくさん存在しています。
巨樹とは地上高1.3mの幹周りが3m以上の樹木を指します。そんな巨樹を調査し続けて、2021年4月に1冊の本にまとめあげたのが、宮津高等学校・宮津天橋てんきょう高等学校フィールド探究部(以下、フィールド探究部)の皆さんです。今回は、魅力たっぷりの宮津の巨樹を、フィールド探究部独自のセレクトに基づいたランキング形式でご紹介します!

~フィールド探究部とは?~
フィールド探究部は、1年生4名、2年生11名、3年生7名の計22名が所属する部活動です。(2021年10月時点)
5人の顧問の先生や地域の方々からのバックアップもあり、精力的に活動中。丹後全域の巨樹の調査や希少生物の保護・研究、子ども向け自然体験イベントの企画・運営、さらには神社の石造物の研究まで幅広く活動を展開している部活動です。

宮津を代表する「BIG3」な巨樹

「巨樹」というからにはその大きさを除いては語ることができません。その悠々とした姿を写真と共にご紹介。とにかくデカイ!!宮津のBIG3(ビッグスリー)と言える巨樹をセレクトしてもらいました。

第3位:はたのアベマキ 

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胸高幹周500cm (全国10位)
胸高幹周とは地面から1.3mの高さの部分で測った幹の周囲の長さのことで、500cmというと、大人3人が両手をつないでつくった輪より少し大きいぐらいです。
フィールド探究部曰く「一般に雑木林に多いアベマキがここまで大きく成長するのは極めて稀」とのことで、貴重さが伺えます。成相寺へと続く古道沿いにあるため、参拝者の目印になったであろうことが想像できる堂々とした巨樹です。
フィールド探究部がはじめて計測した思い入れのある巨樹でもあるそうです。

第2位:長江のアカガシ

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胸高幹周685cm 全国6位
長江にある八幡神社の後方、鎮守の森にそびえ立つアカガシです。胸高幹周は685cmと、直径は2mを超える計算となり、幹にできた空洞の中は小さな洞窟のよう。コブが大きく発達している姿は生命力を感じさせます。フィールド探究部曰く「樹勢は良好」とのことで、さすが鎮守の森を見守るだけあるといった佇まいですね。
このアカガシはその傍らに「太刀持ち」「露払い」のごとき2本のアカガシを従え、3本あわせて八幡神社を見守っています。

第1位:小田のタブノキ

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胸高幹周791cm 全国8位
1位には上宮津浄水場付近にあるタブノキがランクイン。根元には八大荒神の祠があり、地域の人々の信仰に寄り添ってきたことが分かります。胸高幹周は堂々の8mに迫るサイズで、荒々しい姿も相まって威厳を感じさせます。
「目立ちはしないものの、ぜひ地域の人たちに大切にしていただきたい1本」ということで1位にセレクトされました。

宮津を見守ってきた「ご長寿」な巨樹 ベスト3

大きいだけでなく、長きに渡り、風格のある佇まいで宮津を見守ってきた巨樹。正確な樹齢は切り倒すことでしか分かりませんが、歴史・文化的な観点から数百年もの間、その地を見守ってきたであろう「ご長寿」な巨樹を選んでもらいました。

第3位:日置・金剛心院のタブノキ

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タブノキが見守るこの地は、京都府知事令で自然保護地にも制定されています。
大きくしっかりとそびえるタブノキは昔から変わらない定点観測で、日置の郷の変遷を見てきたと思われます。

第2位:里波見・高峰神社のスダジイ

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村々の氏神様で、最も多く残されている樹種であるスダジイ。また、麓の森をつくってきた主役としても知られています。根を深く張り、材木は硬く耐潮性も高いため、長い間宮津の人々の暮らしを見守ってきたことを思わせる佇まいです。

第1位:成相寺・旧本堂のスギ

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成相寺の旧本堂にそびえ立つスギは、地滑り防止のために打った杭が芽を出して育ったものだという言い伝えがあるそうです。長い間土地を守りながら成長してきたスギの姿はまっすぐと空に向かい、その樹齢と貫禄を感じずにはいられません。

眺めが最高!な「絶景」巨樹 ベスト3

木そのものだけでなく、それを含めた景色が特に素晴らしい「絶景」巨樹について、土地の歴史や文化と合わせて紹介します。

第3位:上世屋のトチノキ

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丹後縦貫林道沿いに立つトチノキ。巨樹自体の勇姿はもちろん、青々としたグリーンカーテンと眼下に広がる美しい若狭湾を是非楽しんでいただきたいとのこと。林道沿いは落葉広葉樹林なので、四季ごとに違った景色が見られます。

第2位:成相寺・龍神のタブノキ

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成相寺境内に立つタブノキは、バックに立つ五重塔も圧巻。五重塔は平成10年に建立されたもので、古きを知るタブノキとの美しいコントラストが窺えます。眼中に「温故知新」を一挙に収めることのできる貴重なスポットです。

第1位:杉山のヤマザクラ

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小田にある杉山の頂上に一本だけそびえ立つヤマザクラが堂々の第1位。青々とした上宮津スギ群落に囲まれてそびえたつ幹周4m越えのヤマザクラは、春には綺麗な花を咲かせます。
フィールド探究部によると「大江山連峰をトレイルで天橋立や宮津湾を眼下に楽しみながら出合いたい」とのことで、登山の締めくくりに花を添えてくれる景色となるはずです。

「フィールド探究部がオススメ」する巨樹 ベスト3

ランキングの最後はフィールド探究部のみなさんに「これぞ是非知って欲しい!」と思う巨樹を、独自の目線でピックアップしていただきました。幅広く調査・研究を行うフィールド探究部ならではの視点と感性が光ります。

第3位:ミョウガ谷のサワグルミ

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サワ」を名に冠するところからわかるように、サワグルミは水辺に生育する落葉広葉樹です。世屋川の最上流部におよそ等間隔で自生しており、豊かな水辺を守っています。
土砂崩れ跡に侵入し、素早く根を張ることで地面を縛り付けてくれるそうで、サワグルミを見つけたら「もしやここも昔は土砂崩れが……」なんて思いを馳せるような楽しみ方ができたら、私たちもフィールド探究部に一歩近づけるかもしれません。

第2位:中ノ茶屋谷筋のスギ

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こちらは中ノ茶屋にある採石場から1kmほど沢沿いに進んだところにあるスギで、点在するスギの巨樹の中でも一際目立つ大きさを誇ります。幹が多数枝分かれした特殊な樹形は、材木として伐採と再生を繰り返したことを示すもので、資源として大切に活用されてきた過去を思わせます。フィールド探究部の調査樹2000本記念として記録された巨樹で、写真からもその喜びと思い入れが伝わってきます。

第1位:日ヶ谷・下垣神社のケヤキ

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栄えある第1位は、2本の木が絡まり合った合体樹。中心にあるのはタブノキの枯木で、周囲をケヤキが覆って生長しています。宮津市トップを誇るケヤキ自体の大きさもさることながら、生と死が複雑に絡み合う「生命のせめぎ合いを見せてくれる珍しい樹形の一本」です。

フィールド探究部による『海の京都・丹後の巨樹ものがたり』制作

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2021年4月、フィールド探究部が調査した2,738本の巨樹を紹介する冊子『海の京都・丹後の巨樹ものがたり』が発行されました。エリアごとの巨樹台帳をはじめ、代表的な樹種の解説や自然文化財に指定されている社叢林しゃそうりんのこと、木とともにあった人々の暮らしなどがまとめられています。例えば、絶滅したと思われていた「メタセコイア」は、中国に生き残っていたものを1948年に日本の研究者がもらいうけ、日本全国に広がったという歴史があることなど、巨樹にまつわるエピソードをたくさん知ることができるのも特徴です。
また、サイクリングしながら楽しむ巨樹マップなどのコンテンツもあり、巨樹初心者から玄人まで楽しめる一冊になっています。
※宮津市立図書館で見ることができます。

宮津市の巨樹とフィールド探究部の今後

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フィールド探究部のみなさんに、今後の目標を聞いてみました。

"私たちは、地域の「人・もの・こと」から自然や歴史について学び、未来を展望することを活動の目的にしています。これまでの活動を通して、宮津市を含め丹後地域には誇るべき地域資源がたくさん存在することが分かってきました。しかし、その中には今にも消えてしまいそうなもの、忘れ去られてしまいそうなものもあります。私たちはそんな所にも光をあて、ディープな丹後を探りながら楽しんで活動を続けていきたいと思っています。何よりも高校生である私たちが楽しむことを第一に、そしてその楽しさを一人でも多くの人と共有できるように、調査研究はもちろんのこと、様々な場面で地域の方々と一緒に地域の新しい魅力を作り出せたらと思っています。"

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丹後・宮津の豊かな自然と、それに寄り添った文化。それは樹木をはじめとする植生や歴史が複雑に絡み合ってできた魅力そのものと言えるでしょう。巨樹の魅力を伝えるフィールド探究部の活動は先輩から後輩に引き継がれていくとのことなので、彼らの活躍にこれからも期待です。
みなさんもフィールド探究部の情報をもとに、魅力あふれるディープな宮津を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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