酒の“つまみ”まで面倒みます! 宮津遺産『徳利いか』
宮津遺産の1つに認定されている「徳利いか」は、スルメイカで作られた「徳利」と「お猪口」でお酒を楽しめるちょっと面白い一品。
お好みの日本酒または焼酎の“熱燗”を徳利いかに注いで楽しんだあとは、そのまま炙って“おつまみ”になる、人にも自然にも優しい食べられる酒器です。
市内では鞍岡商店のみで生産されており、毎年、海風が冷たく感じ始める10月から4月にかけて、主に地元で獲れるスルメイカを使い3人がかりで約8000個が作られています。戦後間もない頃より3代に渡り約70年間作り続けられてきた「徳利いか」で一緒に乾杯しませんか?
イカが「徳利」になるまで
徳利いかの生産に適したイカは、大きさや厚みからスルメイカが使われています。生イカの足や内臓を取り除き、皮を剥いて半乾きの状態にしたあと、徳利の首(くびれた箇所)の部分に自社で作った専用のプラグを取りつけ、空気で膨らませ乾燥させていきます。
この時、首の部分の大きさがイカによって違うので、それぞれの形に気をつけながら手作業で丁寧に形を整えていきます。ある程度乾いたら、反対側の尖った部分を中に押し込み、平らに整えて徳利の底が作られます。
カチカチになるまで乾燥させたら徳利はできあがり。徳利の形を作るまでに3日、形を作ってから2~3日と合計5~6日かけて乾燥させて作られています。
また、お猪口はイカの耳を使用して作られており、同じように一度半乾きにしたあと、平にプレスしてお猪口の形に整え、3日程乾燥させます。こうして徳利とお猪口のセットが出来上がります。
ちなみに、徳利を作る際に取り除かれたイカの足も、乾燥させて商品として販売されています。
徳利いかでお酒を嗜む
徳利に一度に入る量を計ってみたところ約240cc程。好みの日本酒か焼酎の熱燗を注ぎ、早速キュッと一口いきたいところですが、まずは我慢。少し待ってお猪口に注いで口に含むと、お酒に溶け出したほのかな“イカ”の風味を楽しめます。口元に添えたお猪口のお味も美味しく、ついついチビチビとかじってしまい、直ぐにでも食べ尽くしてしまいそうになるのが少し困ったところ。
同じお酒の熱燗をそのまま飲むのと徳利いかで飲んだ場合を比べてみると、徳利いかの方がイカの風味と塩味でやや味が濃く、豊かな印象がしました。
2度、3度と使ううちに徳利にお酒が染み込み、柔らかくなって自立が難しくなるので、倒れないように小鉢などに入れて支えるのがおすすめ。
その頃には卓上のおつまみも減りつつある頃ではないでしょうか? そんな時こそ「徳利いか」の“つまみ”としての出番がやってきます。
徳利いかを“つまみ”にもう一杯
お酒の風味付けに一役買ってくれていた徳利を、今度はそのままコンロで軽く炙るだけで簡単に“つまみ”に変身します。徳利を炙っている最中はお祭りの屋台を思い出すいい香りに食欲が刺激されます。
今回は日本酒で楽しんでいたのですが、徳利いかに染み込んだ日本酒との相乗効果でスルメイカの身は柔らかく、定番の七味マヨネーズをつけて食べるとお酒が進む一品に! ついついもう一杯お酒が欲しくなってしまいます。
あくまでも洒落。徳利いかの雰囲気を楽しむ。
徳利いかの生産について鞍岡さんに伺ったところ、「使用するイカはこの10年で漁獲が減少し価格が5~6倍に上がってしまったり、生産に適した時期が、気候の低い空気の乾燥する2月にピークが当たるため、寒さの厳しい中で行われる冷たい水作業など大変なことは多いけれど、お客さんが喜んでくれるのが何より嬉しい」と話してくれました。
食べられる酒器としてエコな一面も兼ね備えた商品ですが、「徳利いかはあくまで洒落。ちょっと珍しい雰囲気を楽しんで欲しい」と鞍岡さんは付け加えます。
ユニークな形とお酒への風味付け、お猪口と徳利を食べるタイミングなど会話が弾む要素がたくさん詰まった「徳利いか」。
日々の晩酌で頻繁に登場するものではないかもしれませんが、お酒好きのあの人や宮津の良きものを誰かにおすそ分けする品として自慢したい逸品です。
<データ>
鞍岡商店
宮津市漁師1670
TEL:0772-22-2778
営業時間:8:00~17:00
定休日:日曜日
宮津まごころ市(農水産物直売所)
宮津市浜町3007
TEL:0772-22-6123
営業時間:9:00~17:00
定休日:年末年始
ホームページ:
宮津で日本酒と言えば…老舗酒蔵「ハクレイ酒造」記事も要チェック↓
ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」