日本の里100選・上世屋で作る美味しいお米の話
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日本の里100選・上世屋で作る美味しいお米の話

日本の原風景が今も残る宮津市の世屋せや地区。一部の集落では今も美しい棚田が大切に守られ、昼夜の寒暖差を活かした美味しいお米づくりが行われています。
今回は、上世屋かみせや集落で作られるお米の魅力や米づくりの難しさ、醍醐味についてのお話です。

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宮津市の中心部から車で約45分。下世屋しもせや集落からさらに府道75号を進むと、美しい棚田と鎮守の森が織りなす光景が飛び込んできます。里を見下ろす場所から眺めると、そのまばゆさはより一層鮮明に。まるで物語の世界に迷いこんだような気分を味わえます。「笹葺ささぶきの里」と呼ばれるほど多くの笹葺き民家が今も当たり前のようにある上世屋集落。「にほんの里100選」に選ばれているのもうなずけます。
まるで桃源郷のように美しい上世屋集落については、以前こちらの記事でもご紹介しました。

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チャントセヤファーム代表の小山愛生さん

現在、上世屋集落には12世帯23人が暮らしています。そのなかで、2014年に移住し農業と狩猟に携わっているのが、チャントセヤファーム代表の小山愛生さんです。

上世屋のお米の魅力とは

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松尾集落などと並び棚田が残る上世屋集落では、清らかな水と日中の寒暖差を生かしたお米がつくられています。移住初年度から無農薬・有機栽培の米づくりを行う小山さん。しかし最初から無農薬・有機栽培を念頭に米づくりを行ったわけではないそうです。

「今も『どうしたら上世屋らしさをお米で表現できるか』と試行錯誤する最中ですが、今は上世屋の風土を生かした栽培を目指すと自然と無農薬・有機栽培になるだろうという気持ちで米づくりを行っています。今後、たどり着けるかどうかはわかりませんが『上世屋らしいお米づくり』を突き詰めた結果が、上世屋という土地で暮らすことにつながる本質的なことであってほしいですね」(小山さん)

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「上世屋らしさをお米で表現する」とは、どのようなことなのでしょうか。小山さんは語ります。
「たとえば、うちの棚田だと標高差が約100mあって田んぼごとの気温はもちろん、水はけの良さなどにも違いが出てきます。だからこそ、上世屋の人々が長年培ってきたやり方を学び、上世屋の風土を活かした栽培がしたいと思っています。こうしてできあがったお米を食べてもらうことで、上世屋の魅力を伝えることができればうれしいですね」
とはいえ、以前は新聞記者という全くの畑違いな仕事に就いていた小山さん。棚田オーナー制度を通じて上世屋のお米づくりに携わっていたものの、いざ自分が農家となると「遊びで農作業をしていた時と違って、耕うんの仕方や畔・水路の管理の仕方まで自分がやるべきことや周りの農家から求められることのレベルが違っていた」と実感したのだそうです。さらに、上世屋ならではの苦労もたくさんあったそうで……。

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「たとえば、平地だと農道が整備されていて田んぼのすぐそばまで軽トラックで向かえますが、棚田が多い上世屋は道幅も狭く軽トラックが入れない場所もたくさんあります。そのため、苗箱も人力で運ばなければいけません」

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こうして悪戦苦闘しながらも地元の方に農業のイロハを教えてもらいながら農家としての歩みを始め、4年目頃にさしかかると田んぼごとのクセを把握できるようになり、農家としての自信もつき始めたそうです。じっくりと田んぼを観察し、品種ごとに根が大地に張って育つよう、自然にあるものを活用して育成の手助けを行うのが小山さんの役割。一束一束刈りとった稲は、今ではお目にかかる機会も少なくなった稲木に掛けて天日干しをするなど、手間暇かけて育てています。

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そのため決して生産量が多いとはいえませんが、程良い甘さとぷりっとした弾力、稲木干しによって特有の香ばしさを味わえます。小山さんが丹精込めて育てたお米は、ネットでお取り寄せが可能です。

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近年は、伊根町の酒蔵「向井酒造」からのオファーに応えて酒米としても出荷。無農薬・有機栽培で育てたコシヒカリで醸す日本酒「ひとやすみ」が誕生しました。
「派手さはありませんが、余韻がすごく綺麗な美味しいお酒です」

「上世屋らしさ」を次の世代に受け継ぐ

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全人口の約7割が移住者で構成されている上世屋集落。小山さんのように農業と狩猟で生計を立てる人以外にも、和紙作家や藤織作家など様々な生業で暮らす人がこの場所に集まっています。

「美しい棚田や昔ながらの稲木がある風景も、昔から上世屋に住む人が守り続けてきました。上世屋の伝統として残る藤織りも『便利な綿ができたからやめよう』ではなく、地域の方々の思いがあったからこそ、今でも連綿と続いています。そんな上世屋の人々の魅力に引き寄せられて移住してきたのではないでしょうか」

世屋地区に伝わる藤織りの記事はこちら▼

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そんな上世屋のコミュニティの核を為すのが「棚田」だと、小山さんは語ります。
「機械が入れない場所が多い棚田では、どうしても人力が必要です。稲木も台風で倒れてしまうと、とても一人で起こすことなんてできません。こちらが助けてもらうこともありますし、配慮しなければいけないこともある。こうして棚田でお米作りをすることが、強いコミュニティを維持する仕組みにつながったのだと思います」

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旧上世屋公民館を改修した「セヤハウス」

この伝統を次の世代に受け継ぐため、上世屋集落で行われているのが「村人になるインターン」です。移住体験施設「セヤハウス」を拠点に、四季折々の生業を自分のペースで体験できる企画で、1泊2日から1ヶ月以上の長期まで幅広く対応可能です。現地のコーディネーターがその時期の生業や地域の方を紹介してくれるので、自分のイメージに合った田舎暮らしの可能性を模索できます。(コロナ禍のため、2021年10月段階は受け入れを休止中)

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雪に閉ざされた冬の上世屋集落

とはいえ、冬には2mの雪が積もる上世屋集落。小山さんのように農業で生計を立てるには、冬の生業も考えなければいけません。そこで小山さんが取り組んでいるのが猟師の仕事。近年人気のジビエであるイノシシやシカを、狩猟から解体、精肉、販売まで一手に行っています。2018年には、集落の人々の理解を得て食肉処理施設「上世屋獣肉店」を建設。今後移住してきた人が冬の生業として猟師を選びやすいようにと、働く場まで設けました。

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小山さんが営む上世屋獣肉店のジビエ
クチコミで話題が広がり京阪神のレストランからも注文が来るという

上世屋のホームページでは、美しい四季折々の風景や実際に上世屋に移住してきた人の思いに加え、様々な生業を、具体例を交えて紹介しています。興味のある方は、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

<データ>
チャントセヤファーム
宮津市上世屋499番地

上世屋獣肉店

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