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思いをつなぐピンと餅 吉岡 由貴恵さん

宮津で「輝く人」を紹介する「MY-PLACE」。
(広報みやづ 2021年10月号 No.782)

噛めばもっちり、中にはぎゅっと餡子がつまり、ほどよい甘さが楽しめる。ピンと餅は、20年愛される宮津の名物お菓子です。父が大切にしたお菓子を食べてもらいたいと頑張る吉岡さんをご紹介します。

吉岡由貴恵さん

吉岡さんは、1966年創業の天乃路本舗で、丹精込めてお菓子を作る父の背中を見て育ちました。父が亡くなった後は、弟・梅本宗之さんが事業を継ぎ、吉岡さんは4年前にお店を一度離れます。
 
しかし、5年半前に弟が大病を患い、追い打ちのようなコロナ禍で事業存続の危機に。大変な家業を手伝おうと、半年前に復帰してお店の代表に。現在は弟と二人三脚で父の味を守っています。

兼ねてより「地元の人にもっと愛されるお菓子にしたい」と考えていた吉岡さんは、地元の人の目のつく機会を増やすことをはじめます。阿蘇シーサイドパークでの露店販売に、道の駅やスーパーでの取り扱いと、今やどこに行っても見かけるようになりました。
 
「じっとしていたって売れない!」とSNSやふるさと納税を活用するなど非常に精力的。忙しさに目が回りそうになりながらも「自分の思うようにやれるのはとても楽しい」と目を細めます。

それでもお店まで買いに来てくれるのは、近所の方が大多数。人との関わりが少なくなってきている中で吉岡さんが特に気にしているのは、独り暮らしのお年寄りの方の生活だといいます。「人との何気ない会話もなく、元気に過ごせているのだろうかーー」。そこで計画しているのが、お店2階のカフェと小売りを兼ねたスペースへの改装。「困ったことがあれば、とりあえず来て」といえる場所になればと期待が膨らみます。

みんなが「宮津でつくった宮津のお菓子だよ」と手土産やお茶のおともに持っていく。そんな未来もそう遠くないのかもしれませんね。